NC付きの機械が、あたりまえの工作機械業界ですが、毎年、少数のお客様から完全メカ手動式のいわゆる汎用機を検討したいというお話をいただきます。
しかし、現在、弊社では完全メカ手動の汎用機は、製造しておりません。
ですが、長年に渡ってYZ機をご使用いただいたユーザー様には、オーバーホールという形で新品時と同様の精度で納めさせていただくサービスを行っています。
長年、苦楽を共にしてきたYZ機ですが、使用頻度により年々、精度の悪化や、故障箇所がでてきます。そのYZ機を母機として、お客様のご要望とご予算に応じてオーバーホール作業させていただきます。
これからご紹介するのは、完全ホーバーホールの実施例です。ビフォーアフターとその作業工程までご覧下さい。
今回の母機は、YZ−8Cという1983年頃から最終1997年位まで生産された人気機種です。
写真からもおわかり頂けますが、非常に丁寧に使われていたことが判断できます。
しかし、各部は、確実に消耗し、精度も落ちています。
(1)各部を、バラバラにし鋳物部品は、再利用しますので洗浄機で洗浄します。
(2)門形の研磨機でコラム摺動面を再研磨します。ベットも同様に再研磨します。
(3)プレーナーでテーブル上面を軽くフライス加工します。
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その後、上面をへールバイトで仕上げます。
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アリ溝を仕上げます。
(4)機械のサドルと呼ばれる部分です。
テーブルがのる上面と、ベットと摺動する面にやはり減りがみられます。
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サドル上面と裏面をへールバイトで仕上げます。
機械加工はこれで完成。
(5)ここからは、組立工程です。
現行機種と同様に、機械加工されたベット、コラム、サドル、テーブル、ハウジングの各部は、職人によるキサゲ工程を繰り返しながら組み上げられていきます。
(6)サドルにギヤボックスを取付け、送りネジを組み付け中です。送りネジの取付は、ダイヤルインジケーターで摺動面との高さ を合わせて組み付けていきます。
(7)主軸ハウジング内も、ギヤ、メインベアリングすべて新品に交換します。
(8)電送部品も新品に交換し、いよいよ完成に近づきました。
(9)最後に精度検査を行います。
完全オーバーホールの場合には精度検査表をつけてお客様に出荷いたします。
(10)最後の最後に、加工精度を確認するため、切削テストを行います。
オーバーホール完了です。
新品以上の出来映えです。
見た目だけでなく精度も、こだわりも当時のままです。
これからまた長い間、ユーザー様にご愛用頂きます。
注)オーバーホール前から使用しているスケールとカウンターを、オーバーホール後もご使用になる場合は、
弊社工場へ引き取り前に、弊社サービスが訪問し取り外しさせて頂きます。
これは、機械の運搬時や、清掃時にあるトラブルを未然に防ぐ為であります。
また、ご要望に応じてソニー製マグネスケールの新品取付も行っております。